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統一場心理学の少し詳しい説明:第二章 心の成長

第ニ節 効率よくつながる

私たちの心の中で、意識は、イメージ情報同士をつなげる働きをしています。そして、働きというものは、その能力を使いたいという欲求があって、はじめて顕在化します。つまり、意識には、イメージ情報をつなげたいという欲求があるのです。

3歳からの更なる心の発展を理解するために、意識の働きを少し詳しく見てみましょう。

*楽しくつながる

意識には、イメージ情報をつなげたいという欲求があります。この欲求は、私たちの生活の中で、色々な現れ方をしているのです。たとえば、人と仲良くなればほっとしますし、大自然の中で自分が自然と一体化した気分になると、とても癒されます。

逆のことも言えます。たとえば、私たちは、理屈に合わないことがあるといらいらします。これは新しく記録されたイメージ情報が、私たちの心の中に既に築き上げた内在者の情報ネットワークと、うまくつながらないからです。たとえば、私たちは、数学の問題が解けると、ほっとしたりします。それは、子どもの時代に問題が解けたときに先生から誉められたことが、原因の一つかも知れません。しかしそれだけではなくて、問題が解けて、全体が納得できること自体に、喜びを感じるのです。

意識そのものの欲求と、生理的な欲求による後押しがあって、私たちは、いつも楽しいこととつながりたいと願っています。そして一方では、当初不愉快だったこととも、別の心地よいつながり方を模索しています。それら一連の作業を、なるべく効率よく行うことが、意識の欲求の目指す方向なのです。

たとえば、誤解を解くということがあります。今までとても頻繁に会っていた恋人が、急に疎遠になってしまったとしましょう。はじめは、自分が嫌いになったのではないかと不安になります。しかし後で、恋人の母親が急病になり、看病に忙しかったと知らされれば、そうだったのかと納得します。新しいイメージ情報のネットワークによって、不愉快なつながりが解消されたわけです。

このように私たちの意識は、なるべく効率よく、できれば楽しく、色々なイメージ情報をつなげるように働きます。そしてこのことが、子どもの心の成長を促進し、健康な発達を促すことになるのです。

これが分かりやすい形で示されるのが、犬の調教です。犬に色々な芸を教えるときは、なるべく誉めてやることが大切です。誉めてやると、犬の能力はどんどん高くなってゆくので、効率よく教えることができます。誉められると楽しくなり、意識の能力がフルに活躍できるからです。

これとは反対に、叱るとどうなるでしょうか。限られたことは教えられますが、能力は低下します。教えた人の命令しか聞けなくなったり、状況が変わると忘れやすくなるのです。「犬と人間を一緒にするな」などと、怒らないで下さい。犬のような高等動物は、基本的に人間並みの精神構造を持っているからです。

たとえば、子ども達に「勉強しなさい!」と、怖い顔をして大きな声を出すと、そのイメージと勉強のイメージが、つながってしまいます。このような方法で子どもに勉強させると、社会に出てから、その子どもはどうやって自分の道を切り開くのでしょうか。お母さんが会社までついて行って、「仕事をしなさい!」と言わなければならないかもしれません。自力で仕事を切り開いて欲しいなら、そのようなイメージをどうやったら作れるのかを、考えなければなりません。心の発達の早い時期にイメージを作れれば、それだけそのイメージは、子どもの心に定着します。

もちろん、この段階で既に問題が起きてしまっている場合でも、内在者理論を使って、後に修正することができます。(第三章を参照のこと)

*明解につながる

もちろん、ただ誉めればよいというものではありません。心地よくつながるには、一貫性が最も大切なのです。

たとえば母親が、「子どもは、外で元気に遊びなさい」と言った直後に、「勉強しなきゃだめじゃない!」と怒鳴ったら、子どもは戸惑うばかりです。どうしたら良いのか、分からないからです。子どもが「遊びに行っていい?」と聞いたときに、怖い顔をして「遊びに行きなさいよ!」と怒鳴ったら、更に混乱します。このようなことが続くと、子どもは自分の判断力を疑い、絶えず母親の顔色を伺うようになるでしょう。

しかし、もしも母親が「宿題を済ませてから、遊びに行きなさいよ」といつも同じことを言い、そうできなかったときに怒ったら、子どもはあまり困らないのです。少なくても、充分予測できたことなので、自分の判断力を疑うことはありません。また、心地よくイメージをつなげる方法も、知っているのです。今日は楽しいイメージにつながろうと思えば、宿題をしてから遊びに行くという、安全な方法が、いつでも用意されているからです。

両親は、子どもを叱る前に、どのような方針で子育てを進めるのか、大筋で意見を一致させておくことが、一貫性を保つためにとても大切だと言えるでしょう。

*意志が強いとは

よく、あの人は意志が強いとか、ストレスに強い、逆境に強い、などと言います。あまりにも恵まれた環境にいると、叱られたり逆境に出会ったりしたときに適応できなくなるという心配もあるでしょう。前述のように、楽しく明解なのは良いけれど、そんな環境に育つと強くなれないのではないかという疑問も、不思議なことではありません。

でも、順序があるのです。最初から不安感にさいなまれるような環境からは、強い意志も、逆境を乗り越える精神力も生まれません。まず安心感があると、少しいやなことがあっても、冷静に対処することができます。つまり不快感の向こう側に、イメージ情報の心地よいつながり方があることに、気付く余裕があるのです。子ども達の、イメージ情報を心地よくつなげる能力が、不快感よりも勝っていることが大切です。

たとえば、ちょっと我慢して野球の練習をすると、チームが勝って皆で感激する。その感覚が、どの程度子どもの心に定着しているかが、問題なのです。勝った感激を知らない子どもに、いくら「頑張ったら勝てるから、もっと頑張れ!」と怒鳴っても、理解できません。

子どもにバイオリンを教える名人の話を、聞いたことがあります。まず最初のレッスンは、本当の劇場で、大勢の観客を前にして、バイオリンを弾き終わったところを演技することなのです。子どもは、今終わりましたという設定で、観客にお辞儀をします。すると、大勢の観客が一斉に拍手をするのです。もちろん先生は「君が一生懸命に練習すると、こんなふうにお客様が一斉に拍手するんだよ」と、子どもに教えるわけです。

意志などという特別なものは存在しません。それは、あるバランスを得た精神状態のことなのです。前に進めば、必ずイメージ情報の心地よいつながりを実現できるという、確かな手応えが、意志の強さと呼ばれる現象を演出するのです。

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作成日:2005-3-31 ©応用心理研究所